探偵の仕事
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プロの尾行テクニックは不要? GPS尾行の衝撃!

プロの尾行テクニックは不要? GPS尾行の衝撃!

現在地を教えてくれるGPS装置、使い方によっては違法行為にあたることご存知でしたか?もし浮気調査などでターゲットの車にGPSを装着しようとすれば、探偵側は不法侵入罪とプライバシーの侵害にあたります。それが依頼者による装着となると、話の見え方はまた変わってくるのです。

積み重ねたノウハウを覆す技術?GPS尾行の衝撃!

GPSを用いた尾行が業界全体に衝撃をもたらしています。プロの探偵たちは、長い年月をかけて尾行を成功させるため、様々な技術やノウハウを築き上げてきました。ところが近年GPSを使った尾行調査が実用化し、業界を大いにザワつかせています。ターゲット(調査対象者)の運転する車、あるいはターゲットのカバンなどの持ち物にGPSを取り付けるだけで、わざわざ専門の調査員がターゲットを尾行などしなくても、ターゲットの行動は筒抜けなってしまうわけです。

つまりターゲットをGPS尾行すれば、これまで探偵たちが培ってきたリアル尾行のスキルやノウハウは不要になり、極端な話、探偵に調査を依頼しなくても、一般人が自分自身でターゲットの尾行が可能になってしまいます。
しかし実際のGPS尾行は未完成の技術で、浮気調査の証拠固めにおいては、結局現場に探偵が行かなければなりません。GPS尾行の現状、そしてGPS尾行のメリットとデメリットを紹介しましょう。

今更だけど、GPSって何?

GPSとは、
「グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System)」
のことで、翻訳すると「全地球測位システム」と呼ばれています。

もともとはアメリカが軍事目的で開発した技術ですが、同じく軍事目的で開発されたインターネットのように民間利用されたモノです。「GPS衛星」といわれる人工衛星からの信号を受信し、自分の位置を正確に知ることが可能です。現在は自動車や船舶のナビゲーションシステムをはじめとした、様々な目的で広く利用されています。

特にGPSが身近になったのは、スマホのほぼ全機種がGPS機能を利用したアプリを実装したからでしょう。これによって自分自身の徒歩によるナビゲーションシステムが使えるため、慣れない街でも地図を片手にウロウロしなくても済むようになりました。

リアルGPS尾行はどこまで使えるか?

正直なところ、GPS尾行だけでは探偵による浮気調査などは行ないきれません。探偵が尾行調査をGPSだけに頼りきれない理由としては、

  • GPSの精度が不確かである場合がある
  • 現場に行って押さえなければならない証拠がある。

といったモノです。

これは素人が探偵に調査を依頼せず、自らGPSを利用したターゲットの行動調査を行った場合も共通した問題になります。確かにGPSを使えば、ほどんど苦労無しで楽にターゲットの行動を把握することは可能ですが、まだまだ100%使えるモノではありません。

GPSの精度はまだ不十分?結構誤差のあるGPS!

それなりの費用を掛けない限り、GPS尾行のデータ精度は高くないのです。一般的に誤解されているのですが、GPSシステムはGPS衛星と地上の受信機が交信(お互いに通信している)しているわけではありません。GPS衛星は一方的に時報と、その時刻を発信した時に自分の居る位置情報を伝えているだけです。

GPSで位置を算出するのは受信機(に組み込まれた解析ソフト)で、GPS衛星に対していちいち受信機が自分の位置情報をリクエストしているわけではありません。GPS衛星は送信専門で一方的に自分の位置情報と時刻を発信し、地上の受信機はその名の通り受信専門です。受信機はGPS衛星からの信号を元に現在地を計算して割り出します。

つまりGPSのナビゲーションシステムは、受信機の性能によって精度に開きが出てくるわけです。近年はGPS衛星の数が増えたり、受信機と解析ソフトの性能が全体的にあがったりと、ずいぶん高性能になってきました。しかしそれでも天候の状況や、受信機の受信場所などの諸条件によって、数百メートル単位の誤差が生じます。

完全ではないGPS性能……まだまだ頼るのは困難

GPSを使って尾行をした場合、ターゲットの居る位置が数百メートル単位でズレていたら大変です。ターゲットの行動位置を把握できていないのと同じことになってしまいます。また浮気調査でターゲットが浮気相手とラブホテルに入った場合、GPS受信機が衛星からの信号を受信できず、位置がズレるどころか、ターゲットをロストしてしまう可能性があるわけです。

別にラブホテルがGPS尾行対策で、建物に電波の遮蔽処理をしているわけではありません。建物が入り組んだ場所というのは、GPS信号に限らず、電波の受信がしにくい場所なのです。条例などの関係で、今時ラブホテルなどの建物”は、建てる場所が厳しく規制されている関係上、どうしても密集してしまっています。

GPS尾行をした場合、そうしたGPS受信機の不具合でターゲットを見失ったり、肝心な行動が掴めないという結果に終わる可能性があるわけです。それなりに高性能なGPS受信機を揃えれば、そうした危険はかなりの回避できますが、費用がかかる上に、それでもターゲット捕捉できる確率は100%ではありません。

調査員が現場にいる必要もある!

GPS尾行は、ターゲットの位置を知るだけのものです。受信機をターゲットに発見されない限り、GPS尾行ほど安全なモノはないでしょう。しかしGPS尾行は、ターゲットが動き回ったルートがわかるだけで、動き回った先でターゲットが何をしているかまでは確認できません。探偵が行う身辺調査は、浮気調査にしろ素行調査にしろ、肝心なのは「ターゲットが何処に行ったか?」だけでなく、「ターゲットが何をしていたか?」ということを明らかにする必要があります。

したがってGPS尾行で、ターゲットの立ち回り先がわかっても、その立ち回り先でターゲットが何をしていたかを知るには、やっぱり調査員が現場に行って確かめなければなりません。

調査の証拠押さえ、GPSだけでは無理。現場の調査員の調査技術が必要です

浮気調査で依頼人の最終目的が、
“法的にも通用する浮気の決定的な証拠を押さえる”
という場合、ターゲットと浮気相手がラブホテルや浮気相手の家などへ、二人で入る場面の写真(または動画)と、そこから出てくる場面の写真が必要です。

ホントは二人が中で何をしていたかわかる写真まであると理想的ですが、そこまでやろうとするとラブホテルや浮気相手の家に侵入して、カメラなどを仕掛けなければなりません。ところがこれは立派な犯罪行為(住居物侵入)になってしまいます。ですから離婚裁判で浮気を証明するモノとしては、ターゲットと浮気相手が二人っきりで部屋に篭って、一定時間出てこなかったという事実で十分とされているわけです。

ただターゲットと浮気相手が二人きりで部屋に入って、また出てくるまでの写真は、GPSだけに尾行を任せていたら撮ることは出来ません。リアルな尾行現場でGPS尾行が導入されているのは事実ですが、探偵はGPSでターゲットの動きを探り、証拠を押さえる必要のある現場には直接出向くのが現段階での調査方法になっています。

GPS尾行は違法?リアル現場ではどう使っている?

探偵の業界でGPS尾行を行っている業者は確実に増えています。ターゲットに感づかれる危険がありながら、持ち前の高度な尾行テクニックを駆使して尾行する…というハイクオリティな探偵を現場に投入するより、基本的にGPS尾行でターゲットの行動を把握するほうが経験の少ない探偵に任せられますし、経費も安上がりです。

ただGPS尾行で出来ることは、あくまでターゲットの動きを捕捉するだけですので、浮気現場の証拠を押さえるなどという事は、やっぱり探偵が現場に張り込む必要があります。だから実際の現場では、GPSプラス調査員によるハイブリッドな調査が行われているわけです。またどんな調査でもGPS尾行が使えるわけではありません。場合によっては違法行為になってしまう危険があるからです。

コレをやったら違法行為!禁断のGPS尾行?

探偵業界ではGPSを用いた浮気調査を推奨していません。それどころかGPSの使用そのものが違法行為だとして、いくら依頼人からの要請があっても断る探偵事務所が実在します。刑事事件に詳しい方ならご存知かもしれませんが、2017年に最高裁は
「令状のないGPS捜査は違法」
という判決を下しました。

これは警察が内偵捜査をするにあたり、被疑者(容疑者)の車にコッソリGPSを取り付け、被疑者の動向を探ったのはプライバシーの侵害だと訴えた裁判の判決です。つまり裁判所は
「被疑者の車にGPSを取り付けて捜査したかったら、ちゃんと令状を取ってそれを開示し、被疑者の了解をとって捜査しなさい」
と指示した事になります。

警察がGPSを付けて動向を探っている……なんてことが判った上で怪しげな行動をする被疑者はいないでしょう。被疑者レベルの人というのは“推定無罪”ですから、当然プライバシーは守られるべきという裁判所の考え方も、それはそれで一理ある判断といえます。

国内で違法のGPS、探偵業界では……?

そんなわけでニッポンでは、基本的に家族でもない“赤の他人”がGPSを使って動向調査をした場合、それは違法行為とみなされるわけです。それを根拠に探偵業界もGPS尾行を違法行為との見解をもった業者が少なからずいます。
その一方で、
「配偶者の不貞行為を暴くのが目的」
という理由で、GPS尾行を厭わない業者も実在します。

夫婦間の不倫というのは刑事罰こそありませんが、民事上では離婚の正当な理由になりうる違反行為です。それを暴くために探偵を使って尾行・張込み・聞き込みをさせたとしても、それはプライバシーの侵害とはされません。また妻(又は夫)が、自らGPSを使ってパートナーの動向を調査しても、その行為は違法だといわれないわけです。

ただこの場合、GPS尾行によって浮気がバレた本人が
「プライバシー侵害だ!」
と騒ぐ可能性もあります。これは浮気問題と別の訴訟になりますが、費用や時間も掛かり、問題が一層ドロ沼になってしまう危険があるわけです。

とはいえ、探偵が行うGPS尾行が全部違法になるかという問題は、グレーゾーンの領域になります。警察が行なうのはアウトなら、当然探偵もGPS尾行を行なえばアウトだろうという考え方と、GPS受信機の扱いに苦手な依頼人も少なくないので、依頼人の代理として、GPS尾行をするのはセーフという考え方があり、2018年現在、どちらが正解なのかという結論は出ていません。

現時点で探偵がGPS尾行をした時、明らかに違法行為となるケースは

  • 探偵が自分でターゲットの車にGPS受信機を取り付けた場合
  • ターゲットのカバンにGPS受信機を入れた場合

です。

探偵自身がGPSを車に取り付けたらアウト

GPS受信機は、勝手に赤の他人が車に取り付けた場合、違法行為になってしまいます。これは探偵が、正式に浮気調査を依頼人から依頼されても同じです。この場合

  • プライバシー侵害
  • ストーカー規正法

といった容疑が掛かる可能性があります。

プライバシー侵害に関しては「プライバシー侵害法」といった法律はありませんので、ここで問われるのは民事上の責任です。つまり損害賠償を請求される可能性があります。
また車にGPSを仕掛ける時には、自宅や職場の駐車場に探偵が本人の許可なく立ち入るわけですので、<住居侵入>の罪に問われる可能性もあるわけです。

依頼人が家族の車にGPSを取り付けたら?

その様な危険性を回避するため、大手の探偵事務所は依頼者からの希望があっても、基本的にGPS尾行を引き受けません。ただ、ターゲットの車にGPS受信機を依頼人自身が取り付けた場合は、事情がちょっと変わってきます。
依頼人とターゲットが夫婦だった場合、その車の所有者は法的に“夫婦のモノ”であり、依頼人自身がGPSを付けたとしても自分の所有物なのですから、少なくとも住居侵入罪にはなりません。

プライバシーは、ターゲットが訴えれば問題になるでしょう。しかし訴えた側(つまりターゲット)の勝ち目は薄いでしょうし、ホントに浮気をしていた場合に慰謝料の減額交渉のネタくらいにはなります。が、浮気をしていた負い目のある原告にメリットはあまりありません。

そんなわけでGPS尾行を探偵が行う場合、GPSの受信機をとりつけるのは“依頼人の仕事”になります。ただGPS受信機を取り付けたことがターゲットにバレた場合、GPSの取り付けを指示、あるいは依頼した探偵も同罪で訴えられる危険性はあるわけです(プライバシー侵害のみ。探偵自身は取り付けていないので、住居侵入は問われない)。業界的にGPS尾行に否定的な業者が多いのは、こうした危険があるからでしょう。

依頼人が家族の私物にGPSを付けるのはNG

依頼人がいくら家族であっても、本人の了承無しでターゲットのカバンの中にGPS受信機を忍ばせたら違法になります。夫婦間の浮気調査であっても、夫(または妻)のカバンや衣服といったパートナーの“私物”にGPS受信機を忍ばせておいて尾行行為をしたら、それはプライバシー侵害にあたります。

法的に車は夫婦二人の所有物と解釈されますが、カバンや衣服などは“個人の私物”と解釈され、その中身を勝手に覗き見ることは、たとえ夫婦であってもプライバシーの侵害行為とされてしまいます。判りやすいのは手紙やロックをかけたスマホの中身です。
パートナー充てに届いた手紙は、本人の了承無しで開封して見ることは昔から違法行為でした。それにロックをかけたスマホや携帯電話の中身を勝手に見ると、立派なプライバシーの侵害になります。

ですから、ターゲットのカバンや衣服にGPS受信機を忍ばせて尾行する方法は、仮に依頼人が行ったとしてもアウトです。もっともターゲットにバレたとしても、依頼人や探偵に刑事罰が課せられることはまずありません。だからバレたらバレたで仕方ないと居直ってターゲットのカバンにGPS受信機を仕込むのもアリかもしれませんが、こうした方法を薦めてくる探偵は、あまり優秀といえないでしょう。

GPS尾行は有効だけど、法的には”グレーゾーン”の事実をお忘れなく

GPS尾行は、従来の尾行の常識を覆す技術です。本来尾行というのは、ターゲットに気づかれることなく、その行動を探る高度なテクニックが必要な仕事でした。しかし現代はGPSを使うことでターゲットに気づかれず、確実にその居場所を補足できるようになっています。

GPSの働きはターゲットの居場所特定のみなので、浮気調査の場合は浮気の証拠を押さえるため、最終的には調査員が現場に張り込む必要があります。ですから完全にGPS任せにはできません。しかしターゲットの浮気現場を特定するような調査は、GPS尾行を使えばターゲットにバレにくく、尚且つ楽に調査できるわけです。

当然探偵業界も、GPS尾行を取り入れる業者が少なからず存在します。問題はGPSを使った尾行が違法行為とされるケースがあることで、依頼人がGPS尾行を希望しても断る業者がけっこう存在するということです。
2018年時点で、GPSを使った尾行行為が完全に違法なのかはグレーゾーンですが、個人情報にナーバスな現代の風潮を考えると、今後民間業者であってもGPSによる調査には規制がかかる可能性はあります。探偵に調査を依頼する時は、現行法を検討した上、違法の匂いがする調査法を薦めてくる探偵社には注意したほうがいいでしょう。