探偵の仕事
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探偵を訴えることは出来るか?~総論篇~

探偵を訴えることは出来るか?~総論篇~

探偵を調査の件で訴える場合、大切なのは、「誰を」「どんな内容で」訴えるのかを明確にする必要があります。そして、個人で起こせる裁判は民事裁判になります。自分だけでも可能ですが、できれば裁判のプロである弁護士の力を借りたほうが有利な策をとれるでしょう。

浮気調査のせいで家庭を壊された!訴えることはできるか?

浮気調査が原因で何らかの損害を受けた場合、訴えることは“一応”可能です。もともと自分の浮気が原因なのですから、ある意味“自業自得”なのですが、離婚裁判とは別に訴えることが出来るか出来ないかという点では、とりあえず“出来ないことはない”というのがホントのところでしょう。

ここで肝心なのは、ただ「訴えてやる!」という漠然としたモノではなく、「誰を」、「どんな内容」で訴えるかハッキリとさせること。その中にはたとえ浮気が原因で、騒動の元を辿れば自分のせいだったとしても、ちゃんと相手を訴える事が可能なケースもあるのです。

その訴えは民事?刑事?訴える内容を考えよう!

裁判には<刑事裁判>と<民事裁判>があります。人生の中で裁判なんていうモノには、全く縁のない人も少なくありません。そんな人の中には、裁判所で争われる裁判はみんな同じだと勘違いしている人がいます。確かに裁判所で法廷を舞台にして争われる裁判には違いありませんが、裁判には

  • 刑事裁判
  • 民事裁判

のふたつがあります。

この二つの裁判は、「訴える側」と「訴えられる側」の構造や、訴訟手続きの方法に大きな違いがあります。そのため、ふたつの違いを知った上で、行動を起こさなければいけません。

刑罰を与えるのが刑事裁判

刑事裁判というのは、国家が被告人に刑罰を与えるか否かを決める裁判です。ニッポンには色々な法律があります。それらは国会や地方自治体の議会などで決められているのですが、その法律の中には<刑罰>が設定されているモノも少なくはありません。

要は
「このルール(法律)を破ったら、罰があるよ」
というわけです。そんなニッポンの刑罰は、

  • 生命刑(死刑)
  • 自由刑(懲役・禁錮・拘留)
  • 財産刑(罰金・科料・没収)

の3種7項目しかありませんが、いずれも基本的人権を無視した、憲法に反するモノとなっています。

死刑は言うに及ばずですし、刑務所に入り自由を奪われて労役を強制される<懲役>や、現金を奪われる<罰金>など“国家権力だから出来る”理不尽な行為といえます。
こうした刑事罰を、国家権力側が適当に気分で執行しているとしたら、たまったものではありません。

だから国家権力であったとしても、気分で刑罰を決められないよう、殺人だろうが万引きだろうが、公正な手順で審理し、公平な判決を下す為に定められた法律が<刑事訴訟法>であり、そのルールによって運営されるのが<刑事裁判>なのです。

自分で直接訴えられない?手間がかかる刑事裁判への道とは?

一般人が直接刑事裁判を起こすことは出来ません。刑事裁判の構図は、<国家権力VS個人+弁護人>です。

国家権力というのは、裁判の場合<検察官>で、実際は検察庁の検事が担当します。この検察官が法廷で、訴えられた<被告人>の犯した罪状を追及して、有罪判決に持ち込もうとするわけです。それに対して訴えられた被告人は無実を。あるいはホントに罪を犯したのであれば、少しでも軽い刑罰を訴えます。そしてそれをジャッジするのが<裁判官>という構図になっているわけです。

裁判を起こせる<公訴権>を持つのは検事だけ

日本での刑事裁判は、誰もが起こせるモノではありません。裁判を起こす権利を<公訴権>と呼びますが、刑事事件の場合、公訴権を持っているのは“検事だけ”なのです。警察に公訴権を与えたら、自分たちで犯罪を偽装して起訴してしまう恐れがあります(警察が犯罪を捏造する事件はホントに発生している)。そして一般人が公訴権を持っていたら、審理の結果“実は犯罪でも何でもなかった”といった事態が起きる可能性もあるわけです(つまり一般人の法律知識を信用していない)。

そんなわけで、司法試験に通った法律知識豊富な検察の検事が、警察から送検されてきた事件を吟味し、そこで被疑者が有罪だと判断した時に限って、起訴となり刑事裁判が始まります。
探偵やパートナーに対して、刑事裁判を起こしたいと思った場合は、“警察に被害届を出す”というところから始めなければなりません。

検察に直訴する方法もあるけれど、門前払いが関の山

検察に直接告発するという方法もありますが(検事は警察と同じく、捜査権を持っている)、検事が扱うのは政治家絡みの事件だとか、大企業の巨額脱税といった“大きな事件”だけです。だから検察庁に行っても、
「そういう訴えは、警察へ行ってください」
と言われて門前払いをされてしまうでしょう。

つまり一般人が誰かを刑事裁判で訴えたいのならば、

  • 警察に被害届を出す
  • 警察が捜査して、有罪だと判断する
  • 警察が事件を送検し、検察の検事が事件を検討する
  • その結果、検事も有罪だと判断したら、起訴となる。
  • やっと刑事裁判がはじまる

という面倒な手続きがあるわけです。

自分は傍聴席から見てるだけ?刑事裁判を起こすメリットは薄いかもしれない

刑事裁判では自分が直接相手と戦うわけではありません。刑事裁判は国家権力が被告人に、刑事罰を与えるか否か(有罪か無罪か)、そして有罪であれば、どの程度の刑罰を与えるかを決定する裁判です。したがって法廷内で争うのは、起訴した検察(国家権力側)と起訴された被告人(個人側)で、事件を告発した人に出番はほとんどありません。

検察側から呼ばれて、<証人>として法廷の証言台に立つ事もありますが、基本的には傍聴席から法廷で争われる公判を見ているだけでしょう。
また、裁判に勝って訴えられた有罪判決が下ったとしても、訴えた本人の溜飲が下がるだけで、それ以上のメリットはありません。刑罰が罰金だった場合、被告人が払う罰金は国庫に納まるだけで、告発した自分の手元に入るわけではないのです。ましてや懲役などの自由刑だった時は、受刑者となる被告人に対して優越感を得るくらいのメリットしかないでしょう。

訴えたい相手と直接対決できるのが民事裁判!

民事裁判は、訴えた相手(原告)と訴えられた相手(被告)が法廷で直接対決します。民事裁判の構図は、基本的に個人VS個人となり、そのジャッジを裁判所が下すというモノです。訴える相手が、政府(国家や自治体)である<国家賠償訴訟>や企業や団体に対する賠償問題も、広義の意味では民事裁判になります。

民事裁判は原告が被告に対して、被った被害の賠償や主張する権利を求めるモノで、死刑や懲役といった刑罰を求める事は出来ません。具体的には

  • 特許や著作権が自分(原告)にあることを認める
  • 家賃を滞納しているので、すぐに支払って部屋を退出希望
  • 離婚を認める
  • 損害を認めて賠償金を払う要求

といったモノになり、要は巷で発生する直接犯罪にまで発展しないトラブルとなります。当事者同士では決着がつかない時、裁判所で最終的なジャッジをしてもらうのが民事裁判なのです。

だから刑事裁判と違って、法廷で争うのは関係者であり、自分が訴えを起こした場合も、訴えを起こされた場合も、自分自身が裁判に直接参加できます。
もっともそれはあくまで原則論であり、リアル裁判だと原告も被告も弁護士に代理人を頼み、実際法廷で争うのは、双方の弁護士だったというケースも珍しくありません。また刑事裁判の第一審と違って、被告人は法廷に出廷する義務はありませんので、原告も被告も本人は出廷しない(法廷に来ていない)ということもあります。

浮気騒動の裁判は大抵民事!

浮気騒動の結果として引き起こされる裁判は、大抵民事裁判です。パートナーに浮気をされ、探偵を雇って証拠を握った上で離婚を迫ったとしても、パートナーが離婚を拒んで話し合いによる決着がつかなければ、離婚を求めて民事裁判に突入します。
あるいはパートナーが浮気調査をするために探偵を雇った結果、著しく自分のプライバシーを侵害されたので、その損害賠償を請求するといったモノも、話し合いで決着がつかなければ、やっぱり民事裁判へとなだれ込むわけです。

浮気騒動の中で、エキサイトしたパートナーが刃物を振り回した挙句、パートナーや浮気相手を刺すといったような刑事事件を引き起こさない限り、浮気問題で起きた揉め事は、話し合いでおさまらない時の最終決戦場所は民事裁判だと言えるでしょう。

自分で起こせる!勝てば賠償金も手に入るのが民事裁判

民事裁判は刑事裁判と違って、検事でない一般人でも裁判を起こすことが出来ます。民事裁判で裁判を起こすことは<提訴>と言い、特に資格は問われません。裁判所へ提出する訴状が正しく製作されていて、

  • 賠償金額に見合った手数料(いわゆる“印紙代”)
  • 予納郵便料(訴状など書類を郵送するための切手代、通常の提訴であれば6000円くらい)

といった費用が支払えれば、誰でも民事訴訟を起こせます。

これは弁護士(民事の場合は<代理人>と呼ぶ)を雇わず、自分で裁判を闘う<本人訴訟>というモノです。賠償金額が60万円以下の<小額訴訟>と言われる規模の民事裁判であれば、本人訴訟でもいいでしょう。

高額賠償金ほど、弁護士は必要

しかしそれ以上の損害賠償を勝ち取りたいのであれば、やはり弁護士を雇って裁判を戦ったほうがいいかもしれません。そして民事裁判で勝つことができれば、請求した賠償金は自分の手元に入ってきます。刑事事件と比べて、勝てば実利があるという点は大きな違いと言えるでしょう。ただ提訴する前に注意しておかなければならないのは、“被告の経済状態”です。

賠償金の回収は個人で行います

裁判で勝ったとしても、それは裁判所が「勝敗」を認定するだけで、裁判所は相手から賠償金の取立てはしてくれません。賠償金の回収は自分でしなければならないのです。もちろん相手の給料や銀行口座を差し押さえることも可能ですが、それをする場合の手続きは裁判所が勝手にしてくれるわけではなく、自分自身で手続きをする必要があります。

そんな回収手続きも弁護士に頼むことは出来ますが、それは“訴訟費用と別料金”になるかもしれません。また最悪の事態として、相手が本当にお金を持っていないという事も考えられます。この場合、賠償額を裁判所が立て替えてくれるといったサービスはありません。つまりいくら裁判で勝ったとしても、お金のない相手から賠償金を回収することは出来ない…まさに“ない袖は振れない”わけです。そんな失敗をしないように、提訴する前に相手の経済状態は確かめておきましょう。

まとめ~探偵やパートナーを訴えることは可能!でもよく考えてからにしよう!~

浮気調査が元で受けた被害や損害を裁判に訴えることは可能です。しかし漠然と裁判を考えていてはいけません。まず

  • 誰を訴えるか
  • どのような事で訴えるか

という訴訟の内容をハッキリさせる必要があります。

訴える相手は自分の浮気を暴きだした探偵なのか、それとも探偵を雇ってまでして、浮気を暴こうとしたパートナーなのか?という選択になるでしょう。まぁ、両方訴えるというのも可能ですが、訴訟としては別々に訴える事となります。
次に相手を刑事事件として告発するか、民事裁判で訴えるかという問題です。訴えたい相手が違法行為をしていたのであれば、警察に行って被害届を出します。

違法行為かどうかを明確に判断してから訴える必要があります

しかしここで注意しなければならないのは、
“その行為はホントに違法行為なのか?”
という事です。探偵が業務上で行う張り込みや尾行は、一般人が行うと“ストーカー行為”として訴える事が可能です。しかし探偵の場合、<探偵業法>によって合法とされるため、告発しても警察は被害届を受理してくれないでしょう。

もっともその探偵がちゃんと地元の公安委員会に届出をしていない“モグリ探偵”であれば、探偵と同じ調査業務を行った時点で<探偵業法違反>になりますので、刑事告発できます。また探偵が調査を行う上で、こっそり自宅や職場に忍び込んで盗聴器を仕掛けたりしたことが発覚したら、<住居侵入>という立派な違法行為で訴えられるわけです。

ただこの場合、盗聴器を仕掛けたのが、探偵から依頼されたパートナーだとちょっと事情が変わってきます。パートナーと夫婦であれば、パートナーは自分の家に盗聴器をつけたのですから、住居侵入には当たりません。そうなると刑事裁判でパートナーを訴えても事件化することは出来ないでしょう。どうしても盗聴器の件でパートナーを訴えたいのであれば、プライバシーの侵害を理由に、民事裁判で訴えることになります。

このように誰をどんな内容で訴えるかは、まさにケース・バイ・ケースです。探偵にしろパートナーにしろ、ホントに訴えたい時には、どんな方法が最善なのかは、事前に弁護士と相談したほうが良いでしょう。

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